『意思』と『意志』の違い・共通点は？

『意思』と『意志』の違い

「意思」と「意志」、どちらも「いし」と読みますが、その意味やニュアンスは微妙に異なります。

日常会話では混同して使われることも多いですが、言葉の意味を正確に理解し使い分けることで、より豊かな表現が可能になります。

この記事では、両者の違いを例文を交えながら詳しく解説します。

「意思」とは

「意思」は、ある事柄に対して抱く「考え」「思い」「気持ち」を指します。

それは、明確な行動に結びつくものではなく、心の奥底にある漠然とした感情から、具体的な計画に至るまでの幅広い範囲を包含します。

【例文】

• 彼は海外旅行に行く意思があるようだ。
• 彼女の意思を尊重して、その提案を採用することにした。
• 子供の意思を尊重することが大切だ。

「意思」は、個人の主観的な感情を表す言葉であり、客観的な事実とは必ずしも一致しません。また、状況や時間によって変化することもあります。

「意志」とは

「意志」は、「意思」を基に、具体的な行動に移そうとする強い「決意」「決心」を指します。

つまり、「意志」は「意思」を現実化するための力であり、目標達成に向けて突き進む原動力となります。

【例文】

• 彼はダイエットの意志を固めている。
• 彼女は自分の意志を貫き、困難を乗り越えた。
• 強い意志を持って目標に向かって努力することが大切だ。

「意志」は、単なる感情ではなく、行動を伴うものです。そのため、「意志が強い」「意志が弱い」といった表現は、その人の行動力や達成意欲を表す際に用いられます。

言葉によっての意味の違い

「意思」と「意志」の違いをより深く理解するために、具体的な例を挙げながら考えてみましょう。

例1：ダイエット

• 意思: 太っているのが嫌だ、もっと痩せたい。
• 意志: 毎日30分走る、甘いものを控える。

「意思」は、単に痩せたいという漠然とした願望です。一方、「意志」は、具体的な行動計画を立て、それを実行に移そうとする強い決意です。

例2：仕事

• 意思: この仕事は面白くない、もっとやりがいのある仕事がしたい。
• 意志: 新しいスキルを習得し、キャリアアップを目指す。

「意思」は、現在の仕事に対する不満や将来への漠然とした希望です。一方、「意志」は、具体的な目標を設定し、それを達成するための努力を続けることです。

「意思」と「意志」の使い分け

「意思」と「意志」は、文脈によって使い分ける必要があります。

• 相手の意見を尋ねる場合
  あなたの意思は？
• 状況を説明する場合
  彼女は留学する意思が固まっている。
• 自分の決意を表明する場合
  私はこの目標を達成するという意志を固めました。
• 相手の行動を促す場合
  自分の意志を貫き通してください。

『意思』と『意志』の共通点

このように「意思」と「意志」という言葉は、日常会話で頻繁に用いられるにも関わらず、その意味合いは微妙に異なり、混同されることも少なくありません。

しかし、両者の間に共通する側面は多岐にわたっています。

主体的な行動の源泉

意思と意志の最も大きな共通点は、どちらも主体的な行動の源泉であるということです。

人間は、外界からの刺激を受け、それに対してどのように反応するかを決定します。この決定を行う際に、意思や意志が重要な役割を果たします。

• 自己決定
  意思や意志に基づいて行動することで、人は自分の人生を主体的に生きることができます。
• 目標達成
  目標を設定し、それを達成するために意思や意志を強く持つことは、成功への第一歩です。
• 変化への対応
  環境の変化に対応するためには、柔軟に意思や意志を切り替えることが必要です。

感情との関連性

意思や意志は、感情と密接な関係にあります。

• 動機づけ
  私たちは、喜び、悲しみ、怒りなど、様々な感情を経験します。これらの感情は、行動の動機となり、意思や意志を強化したり、弱めたりします。
• 感情のコントロール
  意思や意志を持つことで、感情をコントロールし、適切な行動をとることができます。
• モチベーションの維持
  目標達成のために、常に高いモチベーションを維持するためには、感情と意思や意志を結びつけることが重要です。

社会との関わり

意思や意志は、社会生活を送る上で不可欠な要素です。

• コミュニケーション
  自分の意思や意志を相手に伝えることは、円滑なコミュニケーションの基礎です。
• 協調性
  他者との協調を図るためには、自分の意思や意志を尊重しつつ、相手の意見も考慮する必要があります。
• 規範意識
  社会のルールや秩序を守るためには、個人の意思や意志を社会全体の利益のために調整する必要があります。

深層心理における意思と意志

深層心理の視点から見ると、意思や意志は、無意識的な欲求や願望と深く結びついていると考えられます。

• 自己実現
  マズローの欲求段階説によれば、自己実現は人間の最も高い欲求の一つです。自己実現に向けて努力するためには、強い意志が必要となります。
• 潜在能力
  人は、自分でも気づいていない潜在能力を持っています。この潜在能力を引き出すためには、自らの意思や意志を信じる必要があります。
• 内なる葛藤
  意思や意志は、時に相反する欲求や価値観の間で葛藤を引き起こすことがあります。この内なる葛藤を乗り越えるためには、自己理解を深めることが重要です。

『意思』と『意志』の違い・共通点まとめ

「意思」と「意志」は、どちらも「いし」と読みますが、意味やニュアンスが大きく異なります。

「意思」は、心の奥底にある漠然とした感情を表し、「意志」は、具体的な行動に移そうとする強い決意を表します。

しかし、両者には、主体的な行動の源泉である、感情との関連性が高い、社会との関わりが深いなど、多くの共通点が見られます。

言葉の意味を正確に理解し、使い分けることで、より豊かな表現が可能になります。
この知識を活かして、言葉の奥深さを理解し、より豊かなコミュニケーションを目指しましょう。